彦江 智弘
多面的・複合的な
都市理解のさきにあるもの
都市社会共生学科ってどんなところですか?
いろんな分野の先生、いろんな関心を持った学生が集って「共生」を模索している場所。いろんな時代やいろんな地域やいろんな問題がゆるやかに交錯しているなかなか他にはない場所。
都市社会共生学科の学びとはどんなものでしょうか?
深めると同時に外にも拡げ、頭を使うだけでなく手や体を動かしたり耳を澄ませたりしながら考えること。そもそも都市自体が多面的・複合的です。僕たち自身が複合的な存在になる必要があります。
なんだか難しそうですね。
確かに(笑)。でも僕たちが生きている世界ってなかなか複雑なんです。
先生のスタジオではどんな活動を行っているんですか?
従来の大学教育では、例えば一つのテーマについて研究して論文を書くということを行ってきました。それに対して僕が所属している「社会文化批評スタジオ」では、自分たちが学んだこと、研究していることを論文という形だけでなく、もっと自由な様々な形で表現・発信することを実践しています。
それは例えばジャーナリズムだったり、コンセプトからデザインまで自分たちで考える冊子作りだったりします。その過程でワークショップや大学以外の場所に出かけてフィールドワークも行います。
先生のご専門について教えてください。
僕の狭義の専門は、20世紀前半のフランス文学です。
文学や芸術研究の面白さとは?
文学や芸術は自己表現や娯楽と捉えられがちですが、文学や芸術の面白さの一つは私たちの社会や世界とのふれあい方を更新し、既存の枠組みを超えた新しい世界認識のアイデアを溢れ出させることだと思います。
文学研究の面白さは、このようなアイデアを言語化・理論化し「いまここ」でさらに活性化させることだと考えています。その意味では、研究というのもクリエイティブなものだといえるかもしれません。そのベースとなるのであれば、江戸時代であっても、100年前のフランスであってもかまいません。
最後に、都市社会共生学科を目指す学生に一言。
自分の中の矛盾や様々な声にたまには耳を傾けてください。それはもしかしたら発想の豊かさに転じることがあるかもしれません。
フランス文学
都市文芸文化論講義、都市文芸文化論演習