学生の所感
常に一つのことを色々な角度から考える、
一見関係ないことをつなげて考える習慣がついた。卒業生ロングインタビュー(2021年度)
(社会分析スタジオ/江原スタジオ、2021年卒、現在は国家公務員)
なぜこの学科に進学しようと思いましたか?
2つ理由があります。一つはもともと横浜国大に行きたかったんです。小学校の時に文化祭に連れて行ってもらった時に、とても楽しくて。入ってみたら、こんなに森の中だったっけ、と記憶と違ってはいたんですけど(笑)。もう一つは、世界史と公民が好きで、高校の社会の先生になりたくて人文に入りたかったんです。だけど、そこがなくなるというから驚きましたし(笑)、新しい学科は先生の資格が取れないらしいと。でも横国に入りたかったので来ました。
印象に残っている科目はありますか?
1年の時は格差の授業が大きかったですね。私が社会学を勉強しようと思ったきっかけなので。鎌原先生の国際政治学講義の影響も大きかったです。今ノートを見ると鎌原先生の似顔絵が描いてありますね(笑)。この授業では、権力を持つとはどういうことか、とか、バランス・オブ・パワーや戦争の話などがメインで、これで私は国際政治系のことに興味を持つようになりました。それまでは地方の現場で仕事をするイメージを持っていましたが、もう少しマクロな視点で見たいなと思って、それが国連やOECDなどと仕事をする今の仕事にもつながっています。
江原先生との出会いも大きかったですね。ジェンダーにはまったのは江原先生の影響です。女性の支援にどうして公が踏み込めないのか、女性を性的に見るときの男性の心理とか、それを容認する社会の仕組みとか構造の話が興味深かったです。スタジオが始まったら生活がスタジオだけになって、サークルにどんどん顔出さなくなったんですけど(笑)、スタジオの方が楽しかったですね。双方向なのが楽しかったです。自分が持ってきたものを聞いてくれる人がいて、反応を返してくれる人がいて、自分で書いたものを添削してくれる先生がいる。
その意味では辻先生の授業も、英語の文献を読んで、自分で口頭で説明しなければいけなかったので、本当に当時は大変だったんですけど、今仕事で英語を使っているので、振り返ってみるとすごく良かったです。
卒論は大変でしたね(笑)。大人になったら毎週卒論やる以上の量を読んで勉強して書かなければいけないので、卒論が出来なかったらその先も1ミリもできない。あの時は文献なんか1冊も読めないと思っていましたけど、今って毎週レポートを読んで、日本語訳するとか、自分たちの声明を作る仕事をしているので、卒論ができなかったら仕事は1週間も持たないですね(笑)。やっぱり経験値じゃないですか。自分で書いたり読まないと分からない。ちょっと昭和チックだけど、卒論はしっかりやっておいてよかったなと。
進路はどのようなタイミングで決めましたか?
3年生の5月6月ですね。周りがインターンとかを2年の頃にやり始めていて、焦りがあった中で、安定を考え、また国家政策に興味も出てきていたので省庁を考えるようになりました。あと福利厚生も重視しました。一人だろうと所帯を持とうと、子供が出来ようができまいが扱いは悪くならずに仕事はしやすいだろうと思って国家公務員を考えましたね。実際働いてみても国会対応さえなければ女性が働きやすいところです(笑)。
卒業して振り返ってみると自分は何を学んだと思いますか?また、それは仕事にどう活かされていますか?
うちの学科は卒論がハードだったと思うのですが、自分で調べて自分で書かなくてはいけなくて、あれは筋トレに近いと思ってます。それは大人になってめちゃくちゃ役に立っていると思います。テレワークで毎日200件ぐらいのメールが届くのですが、膨大な情報をざっと読み、何が重要な情報なのかを把握して、まとめる力というのは、筋トレによって身に付いたと思います。卒論の時はニキビができるぐらい凄い大変だったんですけど(笑)、やってよかったですね。
学科への今後の期待はありますか?
2つあります。研究面としては文系が追いやられている中で存在感を発揮していただきたい(笑)。
あと、社会に出て思ったのは、自分が絶対に正しくて他の人の意見を聞かない短絡的な人、前例踏襲だけする人とかが多くて、学科で会えるような建設的な人、例えば1足す1を4にするような人に出会えることってなかなかない。幾通りも可能性を考えて、人に配慮できる人たち、こういうバックグラウンドの人にはこういうことを言ったら傷つくのではないか、こういう政策を出したらこういうバックグラウンドの人が零れ落ちてしまうのではないか、という想像力を駆使できる人は世の中に少ない。そういうことを考えられる人材を輩出してほしいです。
在学生インタビュー(2021年度)
(文化創成スタジオ(現・芸術文化スタジオ)/カルパントラスタジオ)
なぜこの学科を志望しましたか? 学科で何を学ぶつもりでしたか?
僕はもともと高校時代理系だったんですけど、ただ理系の成績がよかっただけで、周りとのギャップというか、周りは医者を目指しているとか、研究者になりたいとか、すごいモチベーションを持って取り組んでいたんですけど、僕はあまりモチベーションというのがなくて。
でも、僕は映画が好きで、映像制作をやってみたいという気持ちが強かったので、そういう映像制作、人間科学系、芸術とか文化を学べるところに行きたいなと。都市社会共生学科は理系でも受験できるところだったので入ったんですけど、やっぱりそういう人文系、特に映画とか芸術関係を学びたくて入った感じですね。
入学前の印象と入学後の印象はどうですか?
僕は高校2年生の時にオープンキャンパスで横浜国立大学を見学したんですけど、緑が多くて、キャンパスの雰囲気が気に入ってて。入ってからもあまりそのイメージは変わりません。学びたいこととのギャップもなくて、本当に自分のやりたい映像制作とかにも携われるんだなっていうふうに思えましたね。ただ、立地の悪さはちょっと想定外でしたけど。それ以外は悪いギャップとかはなかったですね。こういうことが学びたいんだよなって一年生の時に思ってました。
実際に中心的に学んだことや印象に残っている科目などはありますか?
そうですね、やっぱり映像制作系のファビアン・カルパントラ・スタジオで映像制作したのが一番直接的に関われる授業だったので、一番力が入っていたと思いますし、一番印象に残っているんですね。学問として映像制作に取り組める機会っていうのはこの時期本当に貴重だと思うし、しかもただ映像制作をやるっていうだけじゃなくて、予備知識としていろんな文献や映像資料とか、講義的な感じで教えてもらったりもしたのでそこは部活では得られないところですね。
学生生活には満足していますか?
学生生活にはだいたい満足していると思います。コロナとかはありますけど、まあそれはしょうがないことなんで。コロナ渦なりにも結構楽しめてやっていけてるんじゃないかなって気分的には思ってます。不満があるとすれば、立地ぐらいですかね(笑)。
(社会文化批評スタジオ/清田スタジオ)
この学科を選んだ理由について聞かせてください。
最初は建築について学びたいと思っていました。身体は建築によって変化するので、よりよい空間に住むことがより良い社会につながるのでは、と思っていました。でもある時、それは怖いことではないかと気づいたのです。誰かが決めた空間の中で、自分の頭で考えずにただそれに従えば大丈夫かというと、そんなことはないでしょう。私を取り囲む都市は、常にそういう側面を持っています。一方で100%誰かに操られているわけではない。この学科はその境目にいられるのではないか? 都市科学と文理融合は、私の考えたいテーマに合っていたと思います。
実際にこの学科に入ってみてどうですか?
割と好き勝手できて楽しいです。自分の好きなことや気が合う仲間とゆるやかにつながれている感覚があります。誰かと深く関わったり、仲良くしなくてはならないわけではないので、受け入れられる価値観の中で生きられる反面、偏ってしまわないか不安もあります。
今は私の生活の中で文章を書くことが一番大きなウェイトを占めています。所属している精神分析の清田スタジオは、そもそも文章を書くことがメインなところなので……。純粋に自分と文章の1対1をする場がおもしろいと思います。
コロナ禍の環境も1対1を後押ししてくれますね(笑)。ただそれは入学前に思い描いていた華やかな学生生活と違うのでは?
全然違います。というか、コロナ以前がどうだったかも知りません。普通に友達を作ることさえできない環境で、与えられた課題をやって、世間からは「大学生の本分は勉強なんだからいいだろう」と言われ、「一体私は何してるんだろう?」と思いました。今は対面講義も復活しましたが、コロナ禍の環境を過剰に美化することはできません。
まだまだ出口が見えない状況ですが、今後の展望について聞かせてください。
コロナのある日常が当たり前なので、これから以前とは変わっていく部分もあると思います。特に不安には思っていません。1番は自分の専門をどうするかに頭を悩ませています。人文系の学問分野を幅広くカバーする学科にいるので、好きなこと、興味のあることはなんでもできますが、軸足をどこに置くのかを選ぶのは私です。自由だからこその贅沢な悩みですが、自分の好きなことと向き合うのは、難しくて悩ましく、放り投げたくなるときもあります。